美人JK嬢「あの冴えない歌麿と2週間付き合う罰ゲーム!?」 途中で罰ゲームだということに気付いた歌麿が衝撃の行動に!!其の参

夜 女宅

女「勢いに押されてアドレスまで交換しちゃった」

女「テストの話なんかするんじゃなかったのかなぁ…」

ピリリリ

女「あ、メールだ」

歌『明日の集合は何時にしようか』

女「……深夜に観たいドラマがあるから明日は遅い方がいいんだけど」カチカチ

女『1時半がいいな』

ピリリリ

歌『了解。じゃあおやすみ』

女「(返信はやっ)」

女「おやすみ…?」

女「まだ8時なのに…」

女「もしかしてはやくメール切り上げたかった…とか?」

女「まぁいいや」

女「でも図書館って言ってくれてよかった」

女「家になんか行きたくないし」

女「連れてくるのもいやだし」

女「(たしか賢かったはずだから、ちゃんと教えてもらお)」

女「(無事にテスト乗り切れたらいいなぁ)」

女「…………」

女「…………」ガサゴソ

女「…………」ポスッ

女「うん。やっぱりこのキャップが一番かわいいや」

女「明日被っていこうかな」

女「(……でもちょっと恥ずかしいような)」

女「(買ってすぐ明日のデートで使うなんて…)」

女「(なんか張り切ってるみたいに思われる気もするし)」

女「…………」

女「うん。やめとこ」

翌日 女宅 (土)(7/4)

女「zzz」

女「…………」ゴシゴシ

女「ん…いまなんじだろ…」

女「あー、やばい」

女「寝坊しちゃった」

女「……今から手早く用意しても30分は遅刻確定」

女「メールしとこうかな」カチカチ

女『ごめんなさい。寝坊しちゃったから1時間くらい遅れそう』

女「はぁ…ねむたい…」

ピリリリ

女「え…」

女「返事早すぎない?」カチカチ

歌『そうなんだ。じゃあ俺もゆっくりしてから出るよ。集合は2時半にしよう』

女「よし、助かったみたい」

図書館前 デート 3回目

女「ごめんなさい、遅れちゃって」

歌「大丈夫。俺も今着いたから」

女「ありがとう」

歌「(昨日の事を考えるとアニメの線はないだろうな……)」

歌「俺も昨日は海外ドラマ観てて寝坊しかけたから強く言えなくて」

女「DVD見てたの?」

歌「いや、先月くらいから深夜でやってるやつ」

女「ふふ」

歌「?」

女「私もそれ見てたよ」ニコニコ

歌「(え、笑顔!)」

歌「(あー、なんかもう眺めてたい…)」

女「?」

女「ニヤニヤしてるけど聞いてる?」

歌「ん、ごめん。見惚れてた」

女「なにそれ」

女「(こんなこと言うタイプだったんだ。やっぱり告白した時とはかなり印象にズレが…)」

歌「とりあえず、入って猛勉強しようか」

女「お手柔らかにお願いします」

……

一時間後

女「わけがわかりません」

女「塩化物イオンが…マイナス1だから…」

歌「落ちるのは?」

女「銀…」

歌「それだけ?」

女「ちがうの?」

歌「鉛も落ちる」

女「あれ…でもさっき水に溶けるって言わなかった?」

歌「熱水には溶ける」

女「……化学きらい」

歌「そんなこと言わずに」

女「だって分かんないし!」

女「面白くないし!」

歌「お、女さん…」

女「あ、……」

女「(皆の白い目が…)」

歌「…出ようか」

女「…………」コクン

図書館前

歌「恥かかせちゃってごめん」

女「……私のせいだって」

歌「中途半端なとこで終わったからどっかで続きしようよ」

女「う、うん」

女「(家とか言い出さないで…)」

歌「学校行くか」

女「学校?」

歌「まずは自転車取りに行かなきゃ」

女「うん」

ピッ
『清算金額は 150 円 です』

歌「(よし。小銭ぴったりあるな)」チャリン

女「…………」

学校

女「今って学校開放してるんだ」

歌「テスト前に図書室だけな」

歌「意外と快適でさ。あんまり人もいないし」

女「へー」

女「……っていうかちょっと変な感じするね」

歌「あぁ。私服だから?」

女「そうそう」

歌「たしかに。んじゃ行こうか」

女「今度こそお手柔らかに…」

……

女「ん…放物線C上の点Pに対して、接線…平行…対称移動…」

女「ねぇ」

歌「どうしたの?」

女「数学ってなんでこんなに文章が分かりづらいのかな」

歌「分かりづらい?」

女「さっぱり。喉も乾いた」

歌「俺、買ってくるよ。何がいい?」

女「いいの?」

歌「もちろん」

女「じゃあ炭酸じゃないやつ」

歌「あいよ」

歌「帰ってくるまでにその問題終わらせてね」

女「えぇ…無理だよ…」

歌「できるできるー」スタスタ

女「(行っちゃったし……はぁ……)」

数分後

歌「……」ガラガラ

女「zzz」

歌「寝てる…」

歌「……えーと」

歌「タンジェント使わずに解こうとしてたのか」

歌「こりゃ無理だ」

女「zzz」

歌「…………」キョロキョロ

歌「(図書室に二人きり…相手はお昼寝…)」

歌「…………」

歌「ここでイタズラなんかやってしまった日には」

歌「一生彼氏になれないような気がする」

……

女「……ん」ゴシゴシ

女「え……」

女「あ、そっか。学校来てたの忘れてた」

歌「zzz」

女「一緒に寝てたんだ。起こしてくれればよかったのに」

女「……ミルクティーもぬるくなっちゃったみたい」

女「せっかく買ってきてもらったのになぁ」

歌「zzz」

女「…………」

女「…………」

女「(私の弱さがいけないんだ…)」

女「(断れなくて…)」

女「できるだけ…できるだけ傷つかないように振るから…」

女「ごめんなさい」

女「……私のふざけた遊びにあと少しだけ付き合って」

女「傷つかないようにするには…」

女「罰ゲームだとバレずに、惚れられる前に振る」

女「これが最重要よね」

女「(なんだか自意識過剰だけど)」

女「…………」

女「(まぁ…急に告白されて)」

女「(すぐに好きになることなんて、ないよね?)」

女「そうだよね?」

歌「zzz」

女「(告白よりも前に好かれてることはないはずだし…)」

女「(一回も話したことないから、その可能性はないし)」

女「(今だけ注意してれば…きっと平気…)」

女「…………」

女「(ズルくて、ごめんなさい…)」

女「名前も呼んであげてないし、手もつないでないのに文句も言わないし」

女「……もしかしてプラトニックな関係が好きなのかな」

歌「zzz」

女「ねぇ…答えてよ」

女「…………」ジー

女「…………」ジー

女「もしゃった髪とか短くすればいいのに」

女「爪もちょっと伸びてるなぁ。切ればいいのに」

女「これはきっとあれだ。姉とか妹とかがいない長男タイプとみた」

女「…………」

女「…………」

女「って何やってるんだろ私」

女「置いて帰っちゃおうかな」

女「そしたら…」

女「さすがに愛想つかして向こうから振ってくれる…はず」

女「そうだ。我ながらこの作戦けっこういいかも」

女「罰ゲームは完了するよね。規定違反はしてないわけだし」

女「…………どんな感じで言われるんだろ」

歌『置いていくなんてひどいな』

女『わるい?』

歌『……知るか』

女『怒ってるわけ?』

歌『呆れてんの』

女『……ふーん』

歌『なんだよその返事』

女『べつに』

歌『はぁ』

女『言いたいことあるなら…』

歌『別れよう』

女『……、』

女「……」ズキ

女「……」

女「……」

女「なんか…」

女「なんかわかんないけど」

女「…………」

女「…………振られるのはイヤ、かも」

女「…………」

女「…………」

女「(人で遊んでて振られるのはイヤって…)」

女「最低だよね」

女「(……でもきっとこんなキツい言い方をされることはないと思う)」

女「(優しすぎるんだ…)」

女「あの図書館に設置されてる一時駐輪」

女「料金かかってたってことは私がメールした時には家を出てたんだよね?」

女「じゃないと計算が合わない」

女「……それなのに嘘までついて」

女「なんでそんなに優しいの…?」

女「他の子にもそうなんだよね?私が特別ってわけじゃ…」

女「もしそうだったら……」

歌「……ん」

女「!」

歌「あ、やば」ガタッ

女「…………」

歌「あ、女さん。起きてたんだ」

歌「俺寝てたのか。ごめん」

女「(どうせならマネしてみようかな…)」

女「……謝んなくていいよ。私もついさっき起きたところだから」

歌「そっか。よかった。勉強教えるつもりだったのに」

女「じゃあここお願い」

歌「あ、その前に自販機行って買ってくる」

歌「ぬるくなってるし」

女「……平気。もう涼しくなってきたから。買ってきてくれてありがと」

歌「いえいえ」

歌「んで、その問題は…」

歌「ここでαとθ使って…この角度を…」

女「うんうん」

女「(あっちの言い方はマネできない)」

女「(…………見惚れてたなんて、ぜったい言えない)」

……

夜 歌麿宅

歌「ただいま」

妹「んかえい」モグモグ

歌「はいはい」

妹「……」ゴクン

妹「チッ」

歌「急にどうした」

妹「盗聴器とか仕掛けりゃよかった」

歌「何の話?」

妹「出かける前には無かったのに、寝た跡が顔についてる」

妹「寝てる間に何か話しかけられた可能性もある」

歌「……探偵か?」

妹「女子高生探偵っていい響きね」

歌「ってか寝てる人に話しかけることなんてあるか?」

妹「女さんは今日寝なかった?」

歌「いや、寝てたよ」

妹「その時、終始無言だったの?」

歌「なんかしゃべった気がする」

妹「チッ」

歌「すんません」

妹「…………」

妹「女さんが寝てたとき、何かした?」

歌「思いとどまった」

妹「バッドエンドにならずに済んでよかった」

歌「(危ねぇ…)」

妹「今日からは……我慢の期間に入る」

……

ピリリリ

歌「……JKさんからか」

女『明日も勉強会開きたいな。予定空いてる…?』

歌「ふひひ、空いてまーす」カチカチ

妹「……」ペチッ

歌「いたっ」

妹「我慢の期間は分単位じゃないの」

歌「冗談です」

妹「……さっそく来たみたいね。罰ゲームのデート回数を知らなきゃ歓喜できるんだけど」

歌「今これが来るってことは…」

妹「とにかく早く5回のデートを終わらせたいんだろうね」

歌「はぁ…」

妹「落ち込む気持ちもわかるけど、今は前向いて頭使うとき」

男「そうだな」カチカチ

歌『ごめん。明日はちょっと予定入ってるんだ』

女宅

女「……予定入ってるんだ」

女「まぁちょっと詰め過ぎたかな」

女「いつにしよう…」

……

歌麿宅

歌「好きな人からの誘いを断るなんて…」

妹「行ったら今より窮地に立たされるよ」

歌「おっしゃる通り」

妹「(JKさんは、変なとこで真面目で変なとこで優しい)」

妹「(だからきっと……不自然だと思われる振り方をするとは思えない)」

妹「…………」

妹「(……そろそろ連絡取っとかなくちゃいけないよね)」

妹「(忙しくなかったらいいんだけどなぁ。姉上)」

翌日 歌麿宅 (日)(7/5)

妹「我慢の期間とは言ったけど、やることがないわけじゃない」

歌「女友さんからだな」

妹「ん。口裏合わせが必須になるから」

妹「効果的なタイミングで当てたいけど」

妹「ちょっと難しいか…」

歌「とりあえずアポは取っておこう」

妹「うん。テストって水曜からだったよね?」

歌「そうだな。金曜まで」

ピリリリ

歌「…もしかして」カチカチ

女『月曜日と火曜日も埋まってるのかな?テストまでにデートしたいな』

妹「笑えるくらい詰め込みたいらしいね」

歌「……これさ、今のペースで普通にデートして振られない可能性はゼロ?」

妹「ゼロ、とは言えない」

妹「私の勘で悪いけど……そうね」

妹「ゾンビ映画で追いかけられてる女が一度もこけないくらいの確率かな」

歌「つまり、ゾンビから逃げる時に車のエンジンが一発でかかる確率よりは高い、と」

妹「誤差の範囲よそんなもん。ほぼゼロ」

歌「うひょー」

妹「これだけ誘われるなら…」

妹「テストの力も借りて焦らさないと」

……

女宅

女「……全部断られた」

女「はやくしないと」

女「もっと傷つけることになっちゃう…」

翌日 学校 (月)(7/6)

女「おはよ」

女友「あ、お、おはよ」

女「ねぇ」

女友「…何?」

女「たしか…先週の金曜とかも思ったけど、最近おかしくない?」

女友「そうかな」

女「罰ゲームのことも聞いてこなくなったし」

女友「じゃあ今日からたっぷり聞いてあげるよ」

女「……うーん」

女友「3回目のデートはしてきたの?」

女「(ほんとに聞いてきた)」

女「3回目は、もうしたよ」

女友「……そうなんだ」

女「(たいして興味持ってなさそうだし…)」

女「(提案した罰ゲームなのに…)」

……

お昼休み

女「(あ、今ひとりだ。今の内にスケジュール聞いとこうかな)」

女「(さすがに今週ずっと埋まってることはないと思うし)」

女「(うーん。どうしよう…)」

女「(でも皆に見られたくないしなぁ…)」

歌「あ、来た来た」

妹「来た来たじゃなくて早く食堂行くよ」

歌「あいよ」

妹「また、寝てたでしょ。顔に跡ついてる」ペチペチ

女「…………」

女「…………」

女友「誰だろうね」

女「…………」

女友「ど、どしたの?」

女「…………」モグモグ

女友「(ハムスターみたいになってる…)」

翌日 お昼休み (火)(7/7)

女「(あ、またあの子来てる…)」

妹「おぉ今日は寝なかったんだ」

歌「いや、寝方変えただけ」

妹「あぁそうなの」

女「…………」モグモグ

翌日 放課後 図書室 (水)(7/8)

女「(今日のテストあんまりできなかったなぁ…)」

女「(せっかく勉強会開いたのに)」

女「(……明日の教科の勉強しなきゃ)」

……

女「(ん……この声、女友ちゃんも来てるのかな)」

女友「いやぁ…ほんと助かる」

歌「そう?」

女友「だって明日の物理わけわかんないから」

女「!」

女「(な、なんで…!)」

女「(いや別に…私に知らせる必要なんて…ないけどさ…)」

歌「とりあえず…どこの範囲が苦手?」

女友「全部」

歌「間に合いません」

女友「なんと」

歌「ヤマ張るしかないな」

女友「ありがとー」

歌「約束だから」

……

女「(約束…そんなに仲良かったの…?)」

女「(漫画とか二人とも好きって言ってたっけ…)」

女「(うん…)」

女「…………」

女「(家で勉強しよう…)」ガサゴソ

深夜 女宅

女「…………」

女「…………」

女「勉強進まない…」

女「はぁ…」

女「罰ゲームきつい」

女「…………」

女「…………」

女「はやく…」

女「はやくデートしたいよ」

女「…………」

女「ちょっと仮眠取ろうかな」

……

翌日 明け方 (木)(7/9)

女「……」ゴシゴシ

女「……3時」

女「起きられただけマシかな」

女「……ねむい」

女「コーヒー買いに行こ」ポスッ

……

コンビニ

歌「セー」

女「!」

歌「あ、JKさん…!」

女「な、なんでっ…」

女「えと、あの、お、おじゃましました…!」

歌「ま、待って!」ガシッ

女「……」

女「腕痛いよ…」

歌「ご、ごめん」

女「……」サスサス

女「ここで、働いてたんだ…」

女「知らなかった」

歌「…うん。2時から6時まで」

女「えらいね、こんな時間に働いてて勉強もできて…」

歌「そんなこと…」

女「私は賢くないから」

歌「俺の教え方が良くなかったんだよきっと」

女「違うよ…」

女「今日…じゃない。昨日勉強会してくれなかったからだよ」

歌「(目撃はしてたのか…)」

歌「(……ダメだ。我慢の期間だけど、もう限界)」

歌「今日、放課後にやろうか」

女「勉強会?」

歌「うん」

女「……ありがと」

女「(そうだ…あの時のお返し…)」

女「…………」

女「これください」スッ

歌「ありがとうございます」

女「ふふ。いつもの感じでやっていいよ」

歌「……アリザース」ピッピッ

女「変なの」

歌「なんだと。消費税300%にしてやんよ」

女「できないくせに」チャリン

女「……はい。こっちのコーヒーあげる」

歌「ま、まじで?」

女「じゃあいらない?」

歌「欲しい!」

女「……今日ちゃんと教えてね」

歌「わかった」

女「…………」

歌「やっぱ似合ってるな」

女「この帽子?」

歌「うん」

女「全部褒めてたくせに」

歌「本気でそう思ったから仕方ない」

女「(ほんとかなぁ)」

女「じゃあね。私そろそろ帰って勉強しなきゃ」

歌「わかった」

女「(はやく言わないと……)」

女「ねぇ」

歌「ん?」

女「こんな時間に会ったのは偶然だね」

歌「え、うん…」

歌「そうだな」

女「いっぱいしゃべったよね?」

歌「…………」

歌「……しゃべり足りないくらい」

女「そっか」

歌「…………」

女「ねぇ…」

歌「…………」

女「これ、デートだよね…?」

歌「!」

歌「……も、もちろん」

女「…………」

歌「…………」

女「そっか」

女「デートだよね」

歌「…………」

女「…………」

歌「…………」

女「…………」

歌「JKさん」

女「なに?」

歌「好きだ」

女「…………」

女「……ありがと」

……

女宅

女「…………」

女「(ほんとに無理矢理だけど…)」

女「(4回目のデートが終わった)」

女「(だから、今日の勉強会が最後のデート…)」

女「…………」

女「なのに…」

女「それなのに…!」

女「…………」

女「すき、だって…」

女「何それ…」

女「いきなりそんなこと言わないで…」

女「…………」

女「…………」ゴクン

女「……なんか、コーヒーの味もわかんないよ」グスッ

女「…………」

女「(今までもたくさんひどいことしてきたけど…)」

女「(次のデートで終わりにするから…)」

女「…………」

女「…………」グスッ

女「(全部終わった後にどれだけ嫌われても……ずっと恨まれてもいい……)」

女「…………」

女「(最後の自分勝手を…)」

………

……

女「よし…」

女「…………」カチカチ

朝 歌麿宅

妹「ううん。私は責められないよ」

妹「4回目のデートを勢いで誘っちゃって」

妹「それが5回目のデートになっちゃって」

妹「さらに、何の脈絡もなく深夜のコンビニで愛を伝えたことなんて…」

妹「だから、弱気になんないで」

歌「今日が最後だと思うと…」

妹「……」スパーン

歌「いたっ」

妹「雰囲気が良かったなら奇跡的に惚れてる可能性もある」

歌「うひょー!」

ピリリリ

歌「…………」カチ

女『おはよ。今日の勉強会だけどさ、やっぱり中止にしたいんだけどいいかな?』

妹「……まだ勝ちの目は有りそうね」

妹「まぁ普通にドタキャンの可能性もあるけど」

歌「たしかに」

妹「じゃあまずは…」

歌「…ちょっといいか?」

妹「ん?」

歌「前に話したことだけど」

妹「……あー」

歌「これからは一人でがんばるからさ」

歌「今までも頼りすぎてたし、今更って感じもするけど」

妹「いや、そんなことないよ」

妹「実践してきたのは兄さんだし」

歌「ありがとう」

妹「それに…」

妹「師匠からの独り立ちも名シーンのひとつだし」

歌「(まぁ弟子みたいな立ち位置だったな)」

学校

女「女友ちゃん」

女友「……どしたの」

女「後でどれだけ笑ってくれてもいいから」

女「罰ゲームのことはちょっとの間だけ忘れて」

女友「……わかった」

女「ありがと」

女友「(私が発端なのにどんどん蚊帳の外に追いやられてるような)」

……

女「……ごめんね」

女「誘ってもらったのに急に無理なんて言っちゃって」

歌「ううん。俺もあんな時に言ったんだし」

女「バイトってね」

女「どれくらい入ってるの?」

女「週3くらい?」

歌「週4だな。月火木土の早朝で固定シフト」

女「(月火木土で固定…)」

女「……そうなんだ」

女「今度はドタキャンしないからさ」

歌「…………」

女「日曜日にデートしたいな」

歌「…………」

女「月曜日のバイトって交代するの難しいのかな?」

歌「……なんとかする」

歌「その代わり、あの帽子被ってきてよ。ちゃんと見たい」

女「コンビニで見てたのに?」

歌「あの時は緊張してて」

女「……よくわかんないけど、わかった」

歌「よしっ!」

翌日 夕方 歌麿宅 (金)(7/10)

妹「で、日曜にデートが決まったんだ」

歌「そうだな」

妹「最終決戦だね」

歌「最終にはしたくないんだけど」

妹「うん」

妹「応援してるから」

妹「(月曜日のシフト変更を頼んだってことは…)」

妹「(夜遅くまでデートをしたいって捉えていいはず)」

妹「…………」

妹「(あんまり良い予感がしないけど……)」

妹「(ただの杞憂であってほしい)」

妹「…………」

妹「(私もそろそろ動かなきゃ)」

翌日 夕方 女宅 (土)(7/11)

女「明日で5回目のデート…」

女「短いのか長いのか、よくわかんなかったけど」

女「…………」

女「…………」

女「(最後の自分勝手を…)」

女「(どうか明日だけは、許して)」

女『明日の集合、駅前でいいかな?』カチカチ

歌『うん。何時にしようか?』

女「相変わらず返信早いなぁ…」

女『ちょっと早くても大丈夫?』

歌『もちろん。12時くらい?』

女『まだまだ』

歌『11時?』

女『もう一声』

歌『2時』

女『夜中だよ』

歌『俺はそれでもいい』

女『じゃあ間を取って8時にしよう』

歌『どこの間か分からんが、了解』

女「ふぅ…」

女「…………」

女「明日は、どんな服で行こうかな」

………

……

歌「(……デートコースはすでに決まってるのか)」

歌「(どこでも楽しみだけど、気合入れないと)」

翌日 駅前 デート 5回目 (日)(7/12)

女「おはよ」

歌「……おはよう」

女「なんか眠たそう」

歌「昨日楽しみすぎて寝れなかった」

女「ほんとに?」

歌「もちろん」

女「そうなんだ」

女「うれしいな」ニコニコ

歌「……かわいい」

歌「すごいかわいい」

歌「キャップも似合ってる」

女「……」

歌「もしかして褒め過ぎた?」

女「……恥ずかしいよ」

……

水族館

女「ついたー」

歌「ここの水族館来たの初めてだ」

女「そっか」

女「……ってか髪切ってたんだね」

女「もしゃった髪が解消されてる」

歌「もしゃ?」

女「いいのいいの」

歌「JKさんも髪切ったよね」

女「これは、結び方変えただけ」

歌「うわぁ、盛大に外した」

女「博打じゃないんだから」

歌「すいません」

女「昨日もメールしたけど、デートコースは全部考えてきたから」

歌「すごい嬉しい!」

女「うむ。感謝してよいぞ」

歌「……そんなキャラだっけ」

女「気分的にね」

歌「ひょえー」

女「……そんなキャラなの?」

歌「俺はずっとこんな感じだよ」

女「ひょえー」

歌「バカにしてるな」

女「真似したくなったの」

歌「なるほど」

女「そういや全然魚見てないね」

歌「さかなって」

歌「風情がなさすぎる」

女「それは申し訳ない」

歌「適当だな」

女「あ、ラッコ」

歌「ほんとだ、かわいいな」

女「しかも手繋いでる!」

歌「うお、すげぇ」

女「かわいい…」

歌「…………」

歌「あんな風に…」

女「ん?」

歌「……向こうはアシカだ」スタスタ

女「(手、繋ぎたかったのかな…)」

女「(でも、今日は…)」

女「ひょ、ひょえー」

歌「たぶんだけど、使い方間違ってると思う」

……

歌「お土産買ってかないの?」

女「う、うん」

女「今日は他にも行くから予算は抑え目で…」

歌「そっか」

歌「じゃあ次の場所教えてもらおうかな」

女「次はね…」

女「(……お揃いなんか買っちゃったら困るし)」

歌「あ、ごめん」

女「?」

歌「ちょっとトイレ行ってきていい?」

女「うん。わかった。待ってる」

女「(さて、電車の時間を調べなきゃ)」カチカチ

……

科学館

女「涼しー」

歌「快適だな」

女「ほんとにね」

女「ここは?来たことある?」

歌「…昔遠足で行ったような」

歌「でもほとんど覚えてないや」

女「そーなんだ」

歌「たしかプラネタリウムがあるんだよな」

女「そそ」

女「プラネタが見たくてね」

歌「んじゃ行こうか」

女「うむ」

……

鑑賞中

歌「…………」

歌「(きれいだな)」

女「…………」ジー

歌「(JKさんも楽しそうだし…)」

歌「(今日は朝からずっと、女さんが軽快というか…)」

歌「(ほんとにこういう性格なのかな)」

女「…………」ジー

歌「(いつもと雰囲気が違う?……いや、なにか無理をしてるようにも)」

歌「…………」ジー

女「(適度に暗くて良いムード…)」

女「(とか、思うのかな。普通のカップルは)」

女「…………」ジー

30分後

歌「良かったな」

女「うん…」

歌「あんな風に流れ星見てみたい」

女「……」

女「私、小さい頃にすっごい大きくて真っ赤な星見たんだ」

歌「赤い星?」

女「……うん。きっと星じゃないんだろうけど」

歌「?」

女「最初は大きくて、でもずっと眺めてたらどんどん小さくなって…」

歌「なんだろうな」

女「星のこと好きだったから、その頃にもちょっと知識はあって」

女「きっと超新星爆発が起きたんだ。それを奇跡的に見たんだって」

歌「……うん」

女「でも、何日経ってもそんなニュースなんか流れなくて」

女「……ごめんね」

女「なんか急にいっぱい話して」

歌「いや、そんなこと」

女「たまーに思い出すんだ」

女「飛行機かもしれないし、人工衛星だったのかもしれない」

歌「UFOかも」

女「そっか…それだといいなぁ」

歌「それかNASAが見逃したのかも」

歌「きっと女さんしか見てなかったんだよ」

女「うん…」

女「(あ、やばいやばい)」

女「(戻さなきゃ)」

女「ねね」

歌「ん?」

女「お昼食べよっか」

……

歌「うどんうまい」ズルズル

女「ん」ズルズル

歌「お椀がネコになってるのか」

女「そ。かわいいよね」

歌「うん。かわいい」

女「…………」

歌「…………」

女「(私のこと見ながら言ってるし…)」

女「ありがと」

歌「飲み干せるおいしさ」

女「塩分過多になるよ」

歌「…………」ズルズル

女「…………」ズルズル

電車

女「次は遊園地行くから」

歌「近くにあったっけ?」

女「んー」

女「ちょっと遠くまで」

……

女「…………」

女「…………」

女「(大丈夫)」

女「(きっとうまくできてる)」

女「(もう半分くらいはきてるんだ…)」

女「(あと、少し…)」

女「(がんばらなきゃ…)」

女「(……ちゃんと伝えるために)」

一時間後 遊園地

歌「絶叫系好き?」

女「うむ」

歌「…………」

女「ん。行こ行こ」

歌「……覚悟を決めねば」

女「大げさだね」

……

女「お、お腹いたいっ…!」バシバシ

女「ひざ…ひざが震えてる…!」

歌「笑ってる場合じゃないんだって」ガクガク

女「でもひざは笑ってるね」

歌「そういうのいいから」

女「からかいすぎた」

歌「JKさんは、なんか怖いのない?」

女「んー」

女「フリーフォール」

歌「……わかった」

女「乗ってくれるんだ」

歌「もうヤケだよ」

女「(やったー)」

30分後

歌「も、もう一回!」

女「乗れるの?」

歌「JKさんを怖がらせるために!」

女「おぉ」

女「(やったー)」

1時間後

歌「はぁはぁ…」

女「いっぱい乗れたね」

歌「フリーフォールばっかりな」

女「いやぁ楽しかった」

歌「…………」

歌「ほんとに怖いものは何なの」

女「うーん」

女「そろそろベンチに座ってクレープでも食べるのが一番怖い」

歌「買ってきます」

女「一緒に行くよ」

歌「…………」スタスタ

女「…………」スタスタ

歌「まんじゅうこえー」

女「ひょえー」

……

歌「……」モグモグ

女「……」モグモグ

歌「ひょえーって何?」

女「呪文」

歌「え?」

女「都合の良い呪文なの」

歌「…………」

女「…………」

歌「てかオカズ系クレープ好きなんだ」

女「うん。甘いクレープちょっと苦手」

歌「そうか」

女「こういうのもおいしいよー」

女「た」

歌「た?」

歌「また呪文?」

女「……なんでもない」モグモグ

歌「……」モグモグ

女「…………」

歌「…………」

女「(ふ、ふつうに)」

女「(食べてみる?って言いかけた…)」

女「(危ない…危なすぎる…)」

歌「空いてたからほとんど乗ったんじゃないか?」

女「うん」

歌「……今日はこれで最後?」

女「…………」

女「……ううん」

女「ご飯も食べたいな」

一時間後 レストラン

女「(……眺め良いなぁ)」

歌「まだ明るいな」

女「7月だからね」

歌「何食べる?」

女「カルボナーラすき」

歌「なるほど」

女「カルボナーラ一丁!」

歌「ここ居酒屋じゃないんだけど」

女「居酒屋なんて行ったことない」

歌「俺も想像だよ」

女「何食べるの?」

歌「ふわふわたまごのとろけるオムライス」

女「うわぁ…」

女「ふわたま一丁!」

………

……

女「ごちそうさま」

歌「ごちそうさま」

女「お腹いっぱい」

歌「俺も」

つづく…

 

 

 

 

 

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