美人JK嬢「あの冴えない歌麿と2週間付き合う罰ゲーム!?」 途中で罰ゲームだということに気付いた歌麿が衝撃の行動に!!其の四

女「満足した?」

歌「……うん」

歌「俺、十分満足したよ」

女「そっか」

女「じゃあ…」

女「駅行こうか」

歌「そうだな」

女「(……もうちょっと先延ばしにしても大丈夫だよね?)」

……

待合室

歌「すっかり暗いな」

女「……うん」

歌「ちょっと疲れた?」

女「そんなことないよ」

歌「…………」

女「電車いつ来るのかな?」

歌「えーと…」カチカチ

歌「あと3分くらい」

女「そっか」

歌「……静かだな」

女「うん。誰もいないね」

女「(……チャンスのはずなのに)」

女「(なんて切り出そうかな…)」

歌「…………」

女「…………」

女「(海も見れなかったし…)」

女「(花火もできなかったけど)」

女「(もう十分)」

女「(私は…)」

女「(十分すぎるほど)」

女「(楽しめた…)」

女「…………」

女「(だから、ちゃんと言わなきゃ)」

女「…………」

女「…………」

女「(別れようって)」

女「(他に好きな人ができたから)」

女「(友達に戻りたいから)」

女「(価値観が違うから)」

女「(重いから)」

女「(冷めたから)」

女「(…………キライになったから)」

女「(どれも違う…)」

女「(でも早く言わなきゃ…)」

女「(遅くなっても傷つけるだけなんだから…)」

歌「ん」

歌「電車来たみたい」

女「!」

女「(一言で終わるんだから…)」

女「(ここで…)」

女「(伝えなきゃ…!)」

女「…………」

歌「どしたの?」

女「…………」

歌「電車来たよ。女さん」

女「…………」

歌「?」

歌「具合悪い?」

女「…………」

女「ね、ねぇ…」

歌「ん?」

女「…………」

女「……歌麿くん」

女「も、もうひとつ次の電車にしちゃだめ…?」

……

女「(うぅ…)」

女「(また言えなかった…)」

歌「…………」

女「…………」

歌「JKさん」

女「……な、なに?」

歌「反対側のホーム行こうか」

女「え…」

歌「さっきは十分満足したって言ったけど」

歌「まだ足りないみたい」

歌「行きたいとことやりたいこと残ってるんだ」

女「……わ、わかった」

歌「ありがとう」

30分後 駅

歌「海沿いの線で助かった」

女「……うん」

歌「んじゃ行こう」スタスタ

女「え、海行かないの?」

歌「コンビニ寄りたくて」

女「お腹すいた?」

歌「花火買おうと思って」

女「!」

歌「要らない?」

女「…ううん。うれしい。好き」

………

……

砂浜

女「こんなにいっぱい入ってるんだね」

歌「たしかにびっくり」

女「……これやる!」

歌「よし。火つけよう」カチッ

女「……」ニコニコ

歌「(楽しそうでよかった…)」

女「ついた!」

歌「はやく分けて分けて」

女「やだー」スタスタ

歌「あ、逃げたっ!」

女「えへへ」

……

女「見て見て」

歌「?」

女「四刀流!」

歌「すご」

女「参った?」

歌「…………」ガサゴソ

女「?」

歌「ベアクロー!」

女「なんか強そう」

歌「参ったか」

女「……」ガサゴソ

女「こうなったら、三十六刀流を…」

歌「ないない」

20分後

歌「線香花火いくつある?」

女「5本みたい」

歌「これで最後だな」

女「うん」

歌「二刀流する?」

女「……ううん。ひとつずつ」

歌「わかった」

女「でもこれじゃあ半分ずっこできないね」

カチッ

女「…………」

歌「…………」

女「…………」

歌「なに今の可愛い言い方」

女「え?」

女「!」

歌「……勝った」

女「う…」

歌「……」

女「……上手だね」

歌「あ、落ちた」

女「次は最後の一本賭けて勝負にしようよ」

歌「負けて泣くことになるな」

女「まさか」

歌「……準備おっけ?」

女「おっけー」

カチッ

女「……」

歌「……」

女「私ね」

歌「?」

女「ズルいんだ」

歌「え」

女「……」ツンツン

歌「あ!」

女「落ちた!」

女「勝った!」

歌「せこっ」

女「肘つんつんしちゃダメってルールあった?」

歌「…………」

女「あー」

女「睨みつけるから落ちちゃった」

歌「そりゃ睨むよ」

女「じゃあ貰います」

歌「はいはい」

女「えへへ」

歌「じゃーつけまーす」

女「あ、やる気なくなってる」

歌「反則されたから」

女「しょうがないなぁ」

女「さっきのルールちょっとだけ変えよっか」

女「肘以外ならつんつんしていいよ」

歌「…………」

カチッ

女「…………」

歌「(ここでイタズラなんかやってしまった日には…)」

歌「(一生彼氏になれないような気がする)」

……

歌「全部終わったな」

歌「向こうのベンチ座ろうか」

女「……うん」

女「ほんとは、打ち上げ花火も見たかったんだ」

女「お祭りとかで上げるやつ」

歌「それってもしかしてフリーフォール乗りすぎたせいで…?」

女「違うよ。今日はお祭りやってなかったんだ。もっと遠出すればあったかもだけど」

歌「そうか…」

女「(最後だから…)」

女「見たかったなぁ」

ドン!! ドン!!

女「!」

歌「花火の音だ…!」

女「近くでお祭りやってるのかな?」

歌「どうだろ」

歌「俺らみたいに個人でやってるんじゃないかな」

女「あ、見て見て、向こうに上がってる!」

歌「ほんとだ」

歌「きっと見たいって願いが通じたんだな」

女「ふふ、そうかな」

女「すごい綺麗…」ジー

妹「師匠からの独り立ちも名シーンひとつって言ったけど」

妹「師匠の暗躍ってのも見せどころのひとつだよね、姉上」

姉「何の話か分かんないけど、楽しそうで何より」

女「これで…」

女「海にも行けたし花火も見れたし」

女「……すごい幸せ」

歌「そっか」

歌「これで、もう少し幸せに思ってくれればうれしいんだけど」ガサゴソ

女「?」

歌「渡したいものあるんだ」

女「な、なに?」

歌「はい。これ」

女「…ラッコのストラップ!」

歌「ふたつあるけど、どっちがいい?」

女「!」

女「これ、合わせたら本物みたいに手繋げられるんだ…」

歌「そそ。気に入ってくれると思って」

女「かわいい…」

女「うれしいよ。すごいうれしい」

女「水族館で買ってくれたんだよね?」

歌「うん。諦めきれなくて」

女「…大事にするよ」

歌「喜んでくれてよかった!」

女「…………」

女「ふふ」

女「……今まで楽しかった。ほんとにありがとう」

女「だから」

妹「!」

妹「姉上!点火ストップ!」

女「別れよう。歌麿くん」

姉「ん?」

姉「天かすトップ?」

妹「食い違ってる気しかしないけど」

妹「とりあえずストップ」

姉「了解」

女「……急でごめんね」

歌「…………」

女「…………」

歌俺、今日のデートすごい楽しかった」

歌「冗談抜きで人生トップかもしれない」

女「…うん」

歌「女さんはどうだった?」

女「楽しかった、けど」

女「友達としてしか見られないって分かったの」

歌「友達…」

女「……」

歌「(二週間前の俺から考えると…)」

歌「上出来だな」

女「?」

歌「女さん」

女「なに?」

歌「好きだ」

女「…………」

歌「好きだ」

女「…………」

歌「好きだ!」

歌「大好きだ!」

歌「愛してる!」

女「……重いよ、歌麿くん」

歌「…………」

女「…………」

歌「好きだ」ギュッ

女「……手なんか握られても変わんないよ」

歌「……」ギュッ

女「恋人つなぎでも一緒」

歌「……」ギュッ

女「……抱きしめられても変わんないよ」

歌「じゃあこっちきて」クイッ

歌「……」スタスタ

女「?」スタスタ

歌「いくよ。っせーの!」

女「わわっ」

歌「好き」

女「……お姫様抱っこされながら好きって言われても」

歌「変わんない?」

女「……」

歌「砂浜ドンは服が汚れるかもしんないし」

女「落とさないでよ」

歌「堕とすよ」

女「……いつまでお姫様抱っこ続けるの?」

歌「惚れるまで」

女「…………」

歌「ちょっと揺らいだ?」

女「そんなセリフ言って恥ずかしくないの?」

歌「…………」

歌「……う、腕立てしときゃよかったかな」

女「降ろしてよ」

女「もういいよ」

女「気持ちは伝わったから」

……

歌「(……あいたた)」

女「ほんとに大丈夫?」

歌「ばっちり回復した。JKさん軽かったし」

女「……」

歌「……」

女「歌麿くんの気持ちはすごいうれしいよ」

女「でもね、でも…」

女「…………」

女「だめなの」

歌「?」

歌「どういうこと?」

女「私がこれ以上幸せになっちゃいけないんだ」

女「歌麿くん。好きだよ。だから付き合えない」

歌「付き合えない?」

女「もういいよ。気付いてない振りしてくれなくても」

歌「……」

女「優しいもんね」

女「いつから騙された振りしれくれてたの?」

歌「さてなんのことやら」

女「私は女優になれないし、歌麿くんは俳優になれないね」

歌「ダメなのか?」

歌「嘘の告白でも、俺を騙してても…」

女「だって…だって全部押し付けて逃げようとしてたんだよ?」

女「許されていいわけないよ」

歌「…………」

女「ほんとは分かってたんだ。罰ゲームってことがバレてる、なんてこと」

女「でもね、歌麿くんの優しさに甘えてたの」

女「卑怯な私は全部見ない振りして、逃げてたの…」

女「ごめんなさい」

歌「謝らなくても大丈夫。こっちなんか盗聴器つけようか悩んだくらいだから」

女「ふふ。どういうことなの…」

歌「俺、騙されたのなんか気にしてないから」

歌「むしろ嬉しかったんだよ。好きな人と一緒にいられて」

歌「だから…」

女「ううん。それでもやっぱりダメなの」

歌「ダメじゃない」

女「ダメなの」

歌「ダメじゃねぇ!」

女「ダメ!」

女「罰ゲームってことをいいことに好き勝手してたし!」

女「皆に見られたくないからって話しかけるの躊躇したし!」

女「今日だって無理やり友達っぽく装ったりしたし!」

歌「…だからフランクなひょえーが、都合の良い呪文なのか」

女「そうだよ、幻滅したでしょ…?」

女「人をおもちゃにして…最低だよ…!」

歌「全部終わったことだし、いいんだって」

女「ちがうの…」

女「歌麿くんはかんちがいしてるの…」

歌「どういうこと?」

女「だって…今白状しちゃえば歌麿くんがぜったいにゆるしてくれると」

女「そうやってきめつけて…だからずるくて…わるいこといっぱいして」グスッ

歌「あー!もうじれったい!」

歌「泣いてるJKさんもかわいいけど!」

歌「はい、これハンカチ!」

女「え、あ、ありがと…」

歌「つーかそんなに気になるなら、今から俺も悪いことしてやる!」

歌「それで罪悪感も半分こっこだ!」

女「ひっ」

女「な、なにするの…」

歌「JKさんが罪悪感で苦しんでるなら」

歌「俺も背負うだけだ」

歌「ふひひ…」

女「こ、こわいよおとこくん」ビクッ

歌「もう決めたんだよ」

歌「きっちり受けてもらおうか」

歌「…………」

女「…………」ゴクリ

歌「今からJKさんに罰ゲームで告白する!」

女「え…」

女「罰ゲームで告白…?」

歌「俺と付き合ってください!」

女「…………」

女「…………」グスッ

歌「返事がないな」

歌「ただのかわいいJKさんのようだけど」

歌「あー、あれか」

歌「同じようにデートの回数も決めないといけないな」

歌「そうだなー。とりあえず1万回くらいにしとくか」

歌「あとは、期間か」

歌「これは一生だな。うんうん」

女「……」ゴシゴシ

歌「どう?」

女「や、やだ…」ギュッ

女「一生恋人なんてやだ!」

女「10年くらいで結婚するもん!」

妹「甘っ!」

妹「なにこれ」

妹「ねぇ姉上、なにこれ」

姉「知らんよ。盗聴しといて何言ってんだって話だけど」

妹「甘っ!」

妹「手助けとかいらなかったんじゃないかと思うくらい順調だったよね?」

姉「(というか私は必要だったの?)」

妹「お姫様抱っこを嫌がってない時点で好きどころの話じゃないでしょ」

姉「私にも双眼鏡貸してくれればよかったのに」

妹「ウルトラ予定調和だった気がしない?」

妹「甘っ!」

姉「妹者らしくないな」

姉「もしかして兄貴取られて悔しいのか?」

妹「べ、べつにお兄ちゃんのことなんかそれほど好きじゃないんだからねっ」

妹「…………」ジー

妹「どんだけ手繋いでんだよ」

妹「ラッコか?」

妹「あいつらラッコか?」

姉「無事に付き合えたみたいでよかったじゃないか」

妹「とりあえず盗聴器はオフっとこう」パチッ

姉「なんで?ほんとに兄者のこと好きだったの?」

妹「ううん。今から何やりだすかわかんないから」

妹「そんな声聞きたくないし」

姉「……若いからな」

妹「姉者よりかなり若いからね」

姉「…………」スパーン

妹「いたた…」

妹「んじゃ帰ろっか、アッシー君」

姉「私はその世代じゃない!」

翌日 学校 (月)(7/13)

女友「歌麿君すごいわね。あの状態から堕とすなんて」

女友「(ってかバレたら違う罰ってのがこんな形で実現するとはね…)」

女友「じゃあもうバラしてもいいのかな?」

女「何の話?」

女友「歌麿君に聞かれたのよ。あんたが好きなものとかいろいろ」

女「あ、それなら聞いたよ」

女「図書室で勉強してたのも、作戦?のひとつだったんでしょ?」

女友「なんとなくそんな感じのこと言われたわね」

女友「ってかそんなこと聞かされて引かないの?」

女「引かないよ。もう好きになっちゃったんだもん」

女友「甘っ!」

女友「すんごいからいたくなってきたわ」

女「ふーん。でも男くんのこと誘惑しても無駄だよー」

女友「……私がただのモブじゃないってこと見せてあげる」

放課後

歌「いやいや、伏線も張ってるし間違いないって」

女友「だからそれがミスリードなんだって」

女友「巨人が料理を人類に振る舞ってるのは友好的に見せかけた作戦なのよ」

歌「でも料理中に涙流してたじゃん」

女友「あれは玉ねぎが…」

歌「巨人の身長とまな板の低さを考えたら…」

女「うぅ」

女「わけわかんなくてついてけないよー…」

女友「よし、そこまで言うなら一緒に一巻から漫画読み直して語りつくそう!」

歌「望むところだ」

女「!」

女「お、歌麿くん?」

女「二人きりで遊ぶの?」

女「浮気しちゃやだよ?」ギュッ

歌「そんなことしないって」

女友「あーあ」

女「な、なに?」

女友「こんな束縛きついと嫌われちゃうのも時間の問題なんじゃないかなー」

女「!」

女「う、あ、あの…」

女友「(うひょー)」

女友「(そそるわねこの顔)」

歌「JKさん大丈夫だから」

女「…………」

女友「(またハムスターみたいになってる)」

翌日 放課後 (火)(7/14)

女友「昨日は楽しかったね」

歌「だな」

女友「決着はつかなかったけどね」

女友「てか、あの子と一緒じゃないの?」

歌「なんか言えない用事があるって行ってすぐ帰ったんだよ」

女友「そーなんだ」

女友「私も今日は遠いとこに用事あるんだよね」

歌「遠いとこ?」

女友「茨城県まで」

歌「随分遠いな」

女友「まーね」

女友「どこに行ったか知らないけど」

女友「あの子がナンパされる前に見つけてあげなよ」

歌「……ナンパか」

帰路

歌「(そうだ、暗殺相撲って今日が発売日だったっけ)」

歌「(寄ってくか)」

……

本屋

店員「お買い上げありざしたー」

女「(えへへ、これで私も…)」

歌「あ、JKさん!」

歌「!」サッ

歌「用事って本屋だったのか」

歌「何買ったの?」

女「え、あ、あの、ひみつ…」

歌「まさか危ない趣味嗜好の…!」

女「ち、ちがうよ!」

女「これ…」

歌「ん?食戟の巨人じゃん」

歌「興味持ったの?」

女「ない、けど…」

女「女友ちゃんと楽しそうにしてたから…」ツンツン

女「ちょっと、妬いちゃって」

歌「(うひょー)」

女「あ、にやにやしてる!こっちは真剣なのに!」

歌「ごめん、かわいくてつい」

女「あー!もう怒った!」

女「今からデート!」

女「ほんとに1万回してみせるから!」

つづく…

 

 

 

 

 

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